転居日誌(11):惜別の日々

転居を決めてから一つ気がかりなことが雲のように湧き出てきた。如何に地域と遊離した生活を送ってきたとはいえ、それでも色んな人達とのお付き合いがあるもので、今回のことを気持ちよくお伝えするのにどうしたらよいかと俄然、気が重くなった。
季節の変わり目には山梨の実家で収穫された果実を届けてくれたYさん、書道の大先生で家族ぐるみ教えて頂いたK先生、お隣のSさん、テニスクラブのMさん。テニスクラブではよく顔を合わせる人たちへの伝達は簡単だったが隣近所が案外難儀だった。日ごろ顔を合わせれば「やあやあ、こんにちは、・・・」と話は続くのですが顔を合わせるということが滅多にないので、わざわざ電話をすると何事かと、相手も改まった感じになるので、つられてこちらも改まってしまう。話がつながらない。真っ先にはやはりお隣にお話した。「偶には、お茶しませんか?」とコーヒーとお菓子でよもやま話の末にようやく話を切り出して相手をびっくり仰天させてしまい、恐縮してしまった。お隣さんは2年前にご主人を亡くされて目下一人住まい、何かと助け合いの関係ができつつあったのでショックは大きかったようだった。Yさんはご夫婦ともに小学校の先生をされていてその上、ご主人は童話作家、小学生の作文コンクールでは審査員を務め、ご自分の童話も課題図書に選ばれたこともある有名人、奥様はお茶のお師匠さんで家内を通して大変懇意にして頂いていた。郵便局に用足しに行く途中、偶然にご主人に行き会い、用件を済ませた後お宅に立ち寄ってお話をした。
後日、Yさんご夫妻のアレンジでご近所付き合いのKさんも交えてお茶会を開いて頂き、送別会をしてくれた。テニス仲間のMさんからも恒例のワインパーティで転居を祝ってくれた。転居が決まって割合早い時点でお伝えできたので送別会も気持ちの余裕がある時に開いて頂き気持ちよく参加できたのは幸いなことだった。最後の1週間のことを考えると早くてよかったとつくづく思ったものだった。最後の1週間といえば、息子たちが引越しの前々日と当日に、段ボール詰めの終盤と引越し当日の開梱に付き合ってくれたことは本当に助かった。みんなに祝福され、手伝ってもらい無事転居が実行されたことは幸せなことだった。


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