カズオ・イシグロ:「日の名残り」

言わずとしれた昨年のノーベル文学賞受賞作家の作品の一つ。読み始めると、何だイギリスの名門貴族の執事を務めてきたスティーブンスの「品格とはなにか」という話みたい。しかし何か惹かれるものがあって読み進んでいくと、名門貴族ダーリントン卿とそのお屋敷、ダーリントン・ホールが舞台、そこでスティーブンス執事が雇った一人の女中頭ミス・ケントンと46時中、真剣に向き合う。ダーリントン卿がナチの台頭、第2次事世界大戦を通してナチへの協力者だったとの批判のうちに落ちぶれていく、しかし変わることないダーリントン卿への敬愛、有能な女中頭ミス・ケントンとの多くの角逐を良い思い出として懐かしむ、老いたる執事スティーブンス。新しいダーリントンホールの持ち主になったアメリカ人ファラディから与えられた5日間の休暇に美しいイギリスの農村地帯を旅しながらこれらの様々を回想し独白する。全編を通してミス・ケントンへの想いが強く伝わってくる、ほろ苦い最高に有能だった執事の回顧録、として読ませる作品だった。あまり見てはいないのだがNHKテレビで放映されている『ダウントン・アビー 華麗なる英国貴族の館』を見てみたくなった。

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