カズオ・イシグロ:「わたしたちが孤児だったころ」

イシグロ氏の小説としては2冊目。舞台は1900年代初頭の上海。第1次大戦から第2次大戦を経て戦後に至る大河小説のような時間軸の中で、幼時を上海で過ごした主人公クリストファー・バンクスは記憶力と判断力に優れた英国人の子供だった。親は交易会社に努めていた関係で、上海駐在だった。この時代、交易品の中ではアヘンが公ではないにせよ最大の収益品だったようだ。強い正義感と倫理観を持った母はそのアヘンをやめさせる運動を熱心に展開して、会社方針とは相容れない活動をしていた。そうした中で両親が相次いで失踪し、主人公はイギリスに返される。バンクスはこの時代の流行の職業であった探偵を仕事としてはじめそれなりの名声を博する。そしてかねてから心に秘めていた両親の探索、救出のために懐かしの上海に渡る。折からに日中戦争で混沌としていた戦乱の中様々な人に出会いながら確信に迫っていく。しかし、そこで知ったことは・・・、とこの当りでストーリー紹介は止めておくのがエチケットでしょうね。前に読んだ「日の名残り」とはかなり趣の違う小説を書いているのだ。

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