塩田武士:「騙し絵の牙」

新聞の書評で取り上げられていたのでリクエスト。今やデジタル化の波の直撃を受けている業界の最たるものが出版業界だろう。主人公は雑誌編集長、軽妙な話術とセンスで作り上げた人脈を基盤にして大活躍する。出版業界の裏側情報でそれはそれで興味深いものだったが、仕事にのめり込むばかりに家庭をないがしろにした報いで家庭からは完全に浮き上がってしまっている。小説作家を大切にしながら何とか利益を確保するために奔走するが結局は社内の経営路線争いで破れ、退社する。小説として本当に面白くするためには方向を絞らないと読者としては少し疲れる。何を描きたいのか?と思っていたら最後に主人公が出版業界に大きく立ちはだかる総合エージェント会社の社長になって復活してくるというどんでん返し・・・あまりにも唐突であっけにとられてしまった。正にだまし絵に踊らされた読者はいい迷惑だ。良い題材を料理し損なった惜しい作品としか言いようがない。大泉洋の色んなポーズ写真が節目節目に出てくるのだが残念ながらその意図は自分にはわからなかった。

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